カナブンに降りかかった災難
今は、6月26日金曜日の深夜である。日付はすでに変っている。
数日前、朝、目を覚ますと、リビングの床が水浸しになっていた。エアコンを除湿モードで一晩中作動させていたのだが、そのエアコンから、水滴が勢い良くポトポトと流れ落ちていた。妻は、床に敷いていたパッチワークのキルトがびしょ濡れになっていることに、やや怒り気味であった。このトラブルのため、自分は、通勤バスを一本遅らせる羽目になった。
このとき、自分が真っ先に心配したのは、アパートの下の階に、水が滲みて伝わって、天井から水が落ちて来たりしないかということであった。それで、自分は、妻に、下の階に住んでおられる老夫婦の方に、電話をした方が良いと言った。そうして、慌しく出勤した。
自分は、「しかし、どうして、今朝、突然、エアコンの調子が悪くなったのだろう、これまでは、そのような兆候は見られかったのに」、と不思議に思った。
昼頃、妻が職場に、携帯電話をして来た。エアコンの故障の原因が分かったとのことであった。妻は、下の階の老夫婦の方に、水漏れが無いか確認の電話をしてから、エアコン修理の業者に連絡したようだった。業者の人は午前中に来てくれたそうであった。
エアコンの故障の原因は、室外機から伸びている排水パイプに、カナブン(昆虫の一種)がもぐり込んで、パイプをずっと登って行って、エアコン本体に到達して、絶命したためであった。
夜、カナブンは、水分を求めて飛び回り、しばしば、エアコンの排水パイプに入り込んでしまうそうである。カナブンは一度パイプに入り込むと、容易には後ずさりすることが出来ないようで、結局、エアコン本体付近まで到達すると、力尽きて死んでしまうらしい。
自分は、「そう言えば、後ずさりする昆虫って見たことないような気がするな」、と思ったりした。アリもカブトムシもクワガタも、前にしか進めないような気がする。蝶だって、後ろ向きには飛べないだろう。
修理に来て下さった電気技術者の話によると、エアコンから水滴が落ちてくる場合、カナブンが原因か、結露によるものか、または排水パイプ自体が古くなって劣化した場合の、三通りしか考えられないそうである。また、排水パイプに詰まって死んでいる昆虫は、決まってカナブンだそうである。理由は分からないようである。
自分は、この話を聞いて、1950-1960年代のコンピュータが、真空管に寄って来て焼け死んでしまう蛾のせいで、しょっちゅうトラブルに見舞われた、という話を思い出した。プログラムの不具合を示す言葉であるバグ(Bug)は、本来、昆虫という意味を持っている。
自分は、現代の高度IT社会においても、昆虫一匹のせいで、巨大システムがダウンする可能性は、意外に高いのでは、と考えたりした。
明日の朝は、精神科クリニックに行く予定である。
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